鯉渕大輔は、追われていた。
なんで追われているのは分からないが、気が付いたら4~5人の男たちが後をつけていた。映画に出て来そうな黒服の男たちだ。最初は鯉渕の歩く速度に合わせて歩いていたが、鯉渕が走り出すと、一斉に走り出したのだ。
なぜ追われているか分からない鯉渕大輔は、走りながら頭の中を整理したが、どうしても追われる原因を思いつかなかった。ただ、普通に会社員として仕事をして、日常生活を送っていただけだ。俺が何をしたと言うんだ!鯉渕大輔は心の中で叫んだ。
鯉渕大輔は細い路地に逃げ込んで、塀を越えて、民家の庭先の茂みに潜り込んだ。目を閉じて息を殺していると、追手が通り過ぎて行くのを感じた。鯉渕大輔は安堵し、ほっと一息ついた。次の瞬間、ふっと意識が遠のいた。